あなたの虜ーバンパイアとわたしの秘密の関係ー
帰り道、綾香が思い出したように言った。
『そういえば、アルトくんも6限目サボってたよ~』
って……。
あのあと彼は、どこに………
「楽々~!」
この声は……
ガチャリと、部屋の扉が開く音が聞こえて、その方向に視線を向けた。
「楽々ー?」
「何…?」
わたしの視線の先には、お母さんがいた。
「もぉ~!居るならちゃんと返事してよ~!!」
と、頬を膨らませて文句を言う母、美沙子、39歳。
もう、40歳前なのに見た目は20歳代だ。
我が母を褒めたくはないが、まぁ……綺麗な方だと思う。
頬を膨らませて怒る姿も、まだまだ若い。