窒息寸前、1秒
「うわぁ…。」
玄関を閉めて、扉に背中をあずける。
思い出すと結構大胆な発言をしてしまったな。
それに…。
「…っ。」
キス、しちゃった。
「あら?花那、おかえりなさい。どうしたの、そんなところに突っ立って?」
靴も脱がないで、唇を手で押さえて顔を真っ赤にしている私を不思議そうに見て、お母さんが言う。
「なっなんでもないよ。ただいま。」
「そう、ご飯できてるわよ?」
そう言って、先にリビングに向かうお母さんの
後に続いて、私も向かった。
「今日はコロッケです。」
「いいね。俺、今日そんな気分だったんだよ」
両親の会話を聞きながら、席につく。
由梨子さんと、孝輔先輩。
お似合いだったな。
今日は、二人のことを聞いた一方で、さらに由梨子さんにたいしての疑問が強くなった。
由梨子さんは本当に、幸せの絶頂にいるはず。
だけど、あの日の隆弘と由梨子さんの会話が頭から離れない。
どうして…。
「花那?」
おーい、と私の目の前で手を振るお父さん。
私の箸がとまっていたのだろう。
「具合悪いの?」
お母さんまで心配そうにしてくるので私は慌てて、
「大丈夫!ちょっとお腹一杯になっちゃった。ごちそうさま。」
自分の食器を片付けて自分の部屋に行った。