窒息寸前、1秒
「ん?」
「おはよ。」
肩を軽く叩かれて振り向くと、満面の笑みの隆弘がいた。
朝から元気だな。
「隆弘、おはよ。」
私も笑って返す。
隆弘はちゃっかり私のとなりに座る。
「朝から熱いね~。でも、佐伯?キミの花那ちゃんは永瀬先輩にお熱だよ?」
「はっ!?」
にやにやしながら、横目で隆弘を見る夏海の発言に、隆弘は座ってた椅子をガタンと鳴らして、驚いていた。
私はと言うと、呆れていた。
「なに真に受けてるの、隆弘。夏海の悪い冗談でしょ。」
「そうか、そうだよな。悪かった悪かった。」
私が冷静にそう言うと、隆弘は私の肩に両手を置いて大きく息をはいた。
そんな私たちを指差して、夏海は大笑いしている。
「あはは!やっぱり馬鹿だね~!佐伯!」
そう、隆弘は馬鹿なのだ。
成績とかではなく、なんと言うか…良く言えば天然といったところだろうか。
「夏海、やめてあげて。一応成績はいいんだから。それに、夏海のボキャブラリーさっきから古いよ?」
隆弘が助けてと言わんばかりに私を見つめてくるので、しぶしぶ助け船を出す。
「はぁーい。」
「そーだそーだ!」
つまんないと言わんばかりの夏海に、私の背中から顔をだして、挑発する隆弘。
「そういうところが、馬鹿って言われるの!」
「はい。」
私の言葉にしょげる隆弘。
三人で顔を見合わせて笑った。