窒息寸前、1秒


「ん?」



「おはよ。」



肩を軽く叩かれて振り向くと、満面の笑みの隆弘がいた。



朝から元気だな。



「隆弘、おはよ。」


私も笑って返す。



隆弘はちゃっかり私のとなりに座る。




「朝から熱いね~。でも、佐伯?キミの花那ちゃんは永瀬先輩にお熱だよ?」



「はっ!?」



にやにやしながら、横目で隆弘を見る夏海の発言に、隆弘は座ってた椅子をガタンと鳴らして、驚いていた。



私はと言うと、呆れていた。



「なに真に受けてるの、隆弘。夏海の悪い冗談でしょ。」



「そうか、そうだよな。悪かった悪かった。」


私が冷静にそう言うと、隆弘は私の肩に両手を置いて大きく息をはいた。



そんな私たちを指差して、夏海は大笑いしている。



「あはは!やっぱり馬鹿だね~!佐伯!」



そう、隆弘は馬鹿なのだ。



成績とかではなく、なんと言うか…良く言えば天然といったところだろうか。



「夏海、やめてあげて。一応成績はいいんだから。それに、夏海のボキャブラリーさっきから古いよ?」



隆弘が助けてと言わんばかりに私を見つめてくるので、しぶしぶ助け船を出す。



「はぁーい。」



「そーだそーだ!」



つまんないと言わんばかりの夏海に、私の背中から顔をだして、挑発する隆弘。




「そういうところが、馬鹿って言われるの!」


「はい。」



私の言葉にしょげる隆弘。



三人で顔を見合わせて笑った。



< 22 / 89 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop