窒息寸前、1秒
「だから、ごめんね。浮気しようとか変なこといっちゃって。」
「いえ…そんな。」
最初は本当に意味が分からなくて、先輩の考えていることが何も掴めなかった。
でも、今は少しだけ分かる。
先輩は、由梨子さんのことを思って、隆弘のしていることが許せなかったんだろう。
「先輩。すみません。もう少し隆弘と由梨子さんのこと見守ってあげてくれませんか?」
「は…?」
信じられないと言うように、目を丸くする先輩。
それはそうだよね。
普通なら彼氏と彼氏に好意を寄せる女のひとが会うなんて嫌だし、許せない。
しかも、隆弘は私より由梨子さんを優先する。
絶対にありえない。
だけど、私は隆弘のことを信じてる。
だから…。
「私は隆弘が由梨子さんと一緒に居るには何か理由があると思うんです。隆弘がそれが一番いいって判断しての行動なんだと思うんです。」
「うん…。」
「だから、話してくれるのを待ってあげたいんです。私のワガママかもしれません。でも、」
「分かった。信じるよ。隆弘は俺の可愛い後輩だ。信じてやりたい。」
そう言ってくれた先輩。
その表情は、さっきまでの冷たいものではなく、暖かさを取り戻していた。