窒息寸前、1秒




「なんで?やっぱり、孝輔先輩のこと狙ってるんでしょ?」




「だから、どうしてそうなるんですか?他人の連絡先を勝手に教えられないのは、常識ですよね。」




そんなこと、当たり前でしょ。



誰だって自分の連絡先を他人に勝手に教えられてたら嫌な気分になる。




ここまで言ったら、今までの人はみんな諦めた。




去り際に文句いってたけど。




「だって、教えてくれないんだもんっ!亜美は孝輔先輩のこと好きなんだよ!?好きじゃないなら協力しなさいよ!」



でも、この人たちはダメみたい。



亜美とは川島さんの仲間の、中村亜美。



可愛くて有名だ。



「そうなんですか、中村さん。」



川島さんの隣で黙っている中村さんに私は問いかける。



こういう仲間のためにみたいなのが、一番面倒なんだよな…。



「…そうだよ。亜美は好きなの。でも、振り向いてくれないし、メアドも教えてくれなかった…昨日。」



「昨日!?」



驚いて思わず声がひっくり返る。




昨日って…昨日から好きってこと?




「亜美、一目惚れしたの。昨日サッカーしてる先輩を見て。」




「…そう、なんだ…。」




目をキラキラさせて話す、中村さんにそれ以上なにも言えなかった。




「だから、教えて?ね?」




「だから…無理ですって。」




かわいく首をかしげているけど、目が笑っていない中村さん。



どうしよう…。



諦めてくれないんだけど…。




メアド教えちゃえばよかったかな。



でも、私はされたら嫌だから、絶対にしたくない。



困ったな。


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