窒息寸前、1秒
「ここで、大丈夫です。」
私のマンションの前に着く。
「あぁ、ここだったね。」
実は、昨日もきちんと送ってくれた先輩。
強引だけど、優しい。
「今日は、ありがとうございました。素敵なお店につれてっていただいて…。」
「色気より食い気?」
ペコッと軽く頭を下げる私に、地悪そうに笑う先輩。
「もう、今度からはちゃんと事前に連絡をくださいね?」
「また会ってくれるの?」
否定できなくて、ちょっと拗ねてる私が面白かったのか、クスクスと楽しそうに聞いてくる先輩。
「もう。」
「ごめんごめん。今度はちゃんと連絡するから。今日は許して?」
眉を下げて謝る先輩にイヤとは言えない。
この顔を知っててやってるな、この人。
「しょうがないですね。まぁ友達ですから、多目にみましょう。」
私は拗ねるのも馬鹿馬鹿しくなって大きく笑った。
先輩は、目を優しく細めて私を見ると
「ごめんね。今日、ふたりに遭遇させてしまって。」
と謝ってきた。