窒息寸前、1秒
「花那ちゃん、手、そろそろ離して? 」
「あ!すみません!」
慌てて先輩の手を離す。
お店を出てから先輩の腕を掴みっぱなしだった。
そう考えると、恥ずかしくて顔が熱をもち始めたことが分かる。
「いいよいいよ。それよりどこ行くの?」
先輩は全然気にしてないように、さらっと笑った。
そんな先輩の様子を見て、恥ずかしがるのもなんだか変な気がした。
「あ、ここです。」
「ここ?ここって…ゲームセンター?」
私が指差す建物を見て、眉をひそめる先輩。
私がよく行く駅前のゲームセンター。
「もしかして、嫌いですか?」
「いや…。大丈夫だよ。」
やっぱりなんだか歯切れが悪い先輩。
もしかして、私とんでもないチョイスミス?
「やっぱり、やめますか?」
「いや…。大丈夫なんだけど…。」
「だけど…?」
語尾を濁す先輩に心配になって、見つめる。
「初めてなんだよね。ゲームセンター。」
先輩は恥ずかしそうに顔を背けて言った。
「え…。えっうそ!?」
「いや、本当に。」
男子ってよくゲームセンター行くイメージだったんだけど。
でも、逆に新鮮味があって面白いかもしれない。