窒息寸前、1秒



「なに食べます?」



「んー迷うなぁ…。」



先輩は結構、優柔不断だったりする。



この前は珈琲と紅茶で10分も悩んでいたこともあった。



何でもスパッと決めそうなイメージだから、最初はちょっと笑ってしまった。




「私はラザニアにします。とっても美味しいんですよ。あと、ハンバーグも美味しいし、オムライスもトロトロで美味しいですよ。」



「えー3択?決められそうもない…。」



「ふふっ。ゆっくりでいいですよ。」



本気で悩む先輩がちょっとおかしかった。



「いや、やっぱりラザニアにする。」



「今日はそんなに早く決めていいんですか?」



「うん。大丈夫。」



きっぱり言う先輩。



だけど、今日は5分も悩んでいない。



「じゃあ、頼みますよ?いいですね?」



「もう。バカにしてるでしょ。」



ニヤニヤしながら言う私に先輩はちょっと拗ねた。



先輩は、意外にもすぐ拗ねる。



優柔不断なのも、拗ねるのも完璧なイメージの先輩にはほど遠くて。



仲良くならなければ、知ることができなかったことだなぁ。




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