窒息寸前、1秒
「んーやっぱり美味しい。」
チーズの表面はこんがり、中はトロトロと溶けていて、トマトのソース相性抜群。
熱々でやけどしそうだけど、美味しくてついつい食べ進めてしまう。
「ははっ。花那ちゃん顔が緩みっぱなしだよ。」
「いや、これは不可抗力ですよ。それより、先輩は食べないんですか?」
先輩は最初に一口手をつけただけ。
「あっ…。うん、食べるよ。」
と言いながらも、食べようとはしない先輩。
もしかして、口にあわなかった?
「先輩。私食べれますからね。無理しないでください。」
美香ちゃんのお店で残すことはできないし。
頑張ればいける…と思う。
「え?あっいや…。実は熱いものが苦手で。」
「それって猫舌ですか?」
「あー…。そうとも言う。」
気恥ずかしそうに目線を反らす先輩。
「そんなに恥ずかしがることですか?」
「だって俺がふーふーして食べてたらキモいでしょ?」
必死に訴える先輩に、なんだか可笑しくなった。
「確かに、想像してみると…。」
「…そこは否定しようよ。」
「めんどくさいですね、先輩。」
「言うようになったね、花那ちゃん。」
そう言う先輩と目があって、お互いはじかれるように笑った。
先輩がふーふーして食べてる姿。
確かに、クールなイメージの先輩には似合わないけど、アリだって言う人いると思うけどな…。