窒息寸前、1秒




「あーおいしかった!」



「うん。おいしかったね。」




結局、先輩は冷めるまで待ってから、ラザニアを完食した。



それに、お会計も知らぬ間に払っているという。



私に払わせるわけにはいかないから、先手を打ったとか言っていた。




「じゃあ、また来てね~。」



美香ちゃんが見送りで、お店の外まで出てきてくれた。



「うん。また来るね。」



「ごちそうさまでした。」



そう言う私たちに、美香ちゃんはバイバイと手をふってお店に戻っていった。



「さて、帰る?」



「そうですね。今日は私、役に立てなくて。すみません。」



結局いつも通り先輩が私に気を使ってくれて。



最後なんて奢ってもらっちゃったし。



「いや、楽しかったよ。本当に。特にUFOキャッチャーはハマった。」



「そう言ってもらえると嬉しいです。」



先輩が笑ってくれたから、ちょっと安心。



すこしは楽しめたみたい。



「花那ちゃん、今日は俺の気をまぎらわせようとしてくれたんでしょ?」



「え…あの。はい。」



今日を隆弘と過ごすことを選んだ由梨子さん。



やっぱり先輩は気にしていると思う。


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