窒息寸前、1秒
「ごめんね。帰ろうか。」
うつむく私に、声をかけた先輩。
顔をあげると、申し訳ないという顔で。
いつもの、先輩に戻っていった。
「はい。」
「送るね。」
「ありがとうごさいます。」
いつもと何ら代わらない、先輩との帰り道。
いや、適度に会話を交わしていつも通りを装っていたのかもしれない。
頭からさっきの冷たい顔をした先輩が、離れないのに。
触れちゃいけない。
触れたら…。
もう、先輩は会ってくれない。
なんとなくそう思った。