窒息寸前、１秒

「そうよ。だって、私には見えたわ。」



愉しそうに笑って、私を見る由梨子さん。



何が、言いたいの…？



私には、由梨子さんの目が意味ありげに細められているのが感じとれた。



さっきから由梨子さんの言動には裏がありそうだな、何て胸騒ぎがしていた。




でも、これはきっと…。



私の気のせいなんかじゃ、ない。




「そうですか？先輩のお話が面白かったからですかね。」



わざと、気づかないふりをする。



こんな嘘通じないのは、わかってる。



でも、隆弘がここにいる限りこうするしかない。



由梨子さんは、あのときの私たちを見ている。



確信した。



だけど、隆弘には言っていない。



狙いがわからない以上は下手なことはできない。



しらをきるしかない。




ちらりと先輩の方を見ると、その顔には何の感情も浮かんでいなかった。



たぶん、先輩も見られたことに気づいた。



由梨子さんの意図を探っているのかもしれない。



由梨子さん、本当に何がしたいんですか…？