窒息寸前、1秒
「それに、俺と花那ちゃんの関係は由梨子たちが思ってるほど浅くないよ。」
「え…。ちょっと、先輩っ。」
急に何を言ってるの…?
こんなこと言ったら由梨子さんの思い通りじゃない。
「ふふっ。だって、たっくん?」
ほら、由梨子さんはとても満足そうに笑っている。
由梨子さんは、私が邪魔で仕方ないんだ。
隆弘と別れさせたくて仕方ないんだ。
「花那。」
うつ向いている私に、隆弘が声をかけてきて。
顔をあげると、隆弘が見つめてくる。
私に、何か言ってほしいと、うったえるみたいに。
「友達になったの。」
「そう…。ごめんね。」
「え…?何で謝るの?」
私が悪いのに。
学校で私と先輩のこと噂になってたこと。
隆弘の耳に入らないはずはないのに。
隆弘がきいてこないからって、何も言わなかった。
「ちょっと、疑った。ごめん。」
「いいの。ちゃんと言わなかった、私が悪いの。」
「孝輔先輩との話を聞いたとき、花那には怖くて聞けなかった。花那とはあんまり一緒に居れないから、愛想つかされちゃったかもとか思って。」
隆弘はいつも由梨子さんを優先するから、由梨子さんの方が大事なんだとか。
私はそんなことばっかり思って、ひねくれてた。
だけど、隆弘はちゃんと私のこと考えてくれて。
「あんまり一緒に居れなくてもいいの。一緒に居るときはちゃんと私のこと大切にしてくれてる。」
「花那…。」
「それに、言ったでしょ。隆弘になら何されても良い。何でも許せる。」
「花那、ありがとな。」
隆弘が私に微笑んできたから、私も笑って返した。