普通な学校生活を送るための傾向と対策
「外でごはんたべるの、久しぶり」

 緋色が感慨げに言葉を漏らした。

「川原さんとは来ないの?」

 藤井が尋ねた。

「うん。里花ちゃんとって、ないよね。どうしてかなぁ?」


 緋色は不思議そうに首を傾げた。

 それは、緋色といると、
 必ずっていうほど人に注目されるから。
 それがわたしにはうざくて、
 いつの間にか出歩かなくなったからなのよね。

「元々、あまり外出しないしね」

 家の中でも十分遊べるからね。

 特に勉強とか、勉強とか。


「言われてみれば、そうだね。いつも家だよね」

 思い出したように緋色が言った。

 家の中でしか遊ばないから、
 外食する機会もないことに
 改めて思い至ったみたいだった。

「2人ともインドア派?」

 佐々田が興味深そうに聞いてくる。

「そうね。外より家のほうが落ち着くもの」


 人の目がないってことではね。

 今だって視線が
 こちらに向いているのがわかる。
 緋色目当ての男子達の視線と、
 女子の視線も結構あるし、
 これは藤井と佐々田にだよね?
 もしくは両方にか。
 
 緋色に藤井と佐々田。
 美男美女が揃っていると目立つのよね。

 ダブルデートしているようにも見えるのかしら?

 彼らはこんな視線に慣れているのか、
 気づかないはずは無いとは思うけれど、
 割と平然としている。

「ふーん、そうなんだ。でも、たまには外で遊ぶのもいいかもね」

 意外なことをいったのは藤井だった。

「そうね、藤井くん」

 それは誘っているのかしら? 

 また一緒に出掛けましょうか?

 緋色と2人では危険だけど、
 彼らが一緒ならば外出するのも悪くないかもね。
 
 今日みたいに。

 中学生になったんだし、
 これからは、
 色んな場所に慣れさせておいた方がいいわよね。


 
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