顔が分からない貴方へ
第1章
二人目の転校生
「それにしても、異例ですね」
「ええ、まったくです。
理事長は何を考えてるのか・・・」
「これで二人目ですよね」
「転入は禁止のはずなんですけどね」
「でも今回の転入生徒は…」
「そうなんです!
だから何も言えないんです」
「しかも病気持ちとか」
「その病気も珍しいものでしてね」
「そんなに珍しいものなんですか?」
「ええ。あまり知られてません」
「その子も大変ですね」
「まったくです。まあ、その子の為に
名札をつけるんですけどね」
「名札つけるのは構いませんけど」
「他に手伝える事はないですし。
裏からサポートするしかないでしょう」
「頭はいいんですよね?」
「全国模試でいつも一位ですって」
「その上、剣道の有段者とか」
「病気さえなければ完璧なのに」
「前の学校でも人気だったんですよね」
「生徒会でも活躍したとか」
「本当にもったいない限りです」
ある日の先生たちの会話
< 1 / 22 >