顔が分からない貴方へ
「離して!」
タカの肩に持ち上げられた彼女は
激しく反抗するがあまり効果はない。
「誰だ?こいつ」
「転校生だとよ~」
「んで。いつまで持っていればいいんだ?」
「とにかくあそこまで」
「はぁ」
おいおい。
ため息つくと幸せ逃げるぞ~。
ルイが煩そうだ。
「いい加減に離しなさいっ」
「いて。殴るなよ、女」
「離せばいいじゃないのっ」
「離したら逃げるんだろ?」
「当たり前でしょ!。知らない人にはついていったらいけないのよ」
「あー、それはガキの頃までの話な」
「まだ高校生の貴方もガキよっ」
「はっ、お前よりは大人だな」
「いったいどこがよ!全然紳士じゃないし」
「胸も身長も小さいお前よりは、な」
「外見のはなしでしょっ」
はぁ。
頼むから静かにしてくれないかな~。
てかどっちもガキだしな~。
「ついたから静かにしろよ~」
扉を開けるとソファとテーブルが見える。
俺の、俺たちの場所である、生徒会室。
別名、トップルーム。
この学校の生徒の中から人気投票で
上位五名を生徒会に任命。
また成績優秀者一人ともう一人。
生徒会のメンバーが一人だけ選べる。
まあ、雑用つまり庶務って訳。
成績優秀者は理事長のテストに
合格したという条件をクリアする必要がある。
理事長のテストは難しくて大学卒くらいの
知識がないとダメらしい。
そのためかここ数年成績優秀者がいない。
今回、入学式の時はいなかったが。
その成績優秀者が今月に転入すると聞いた。
もしかしたら。
その成績優秀者が彼女かもしれない。
そう思って彼女をつれてきたんだが。