顔が分からない貴方へ

「まだ誰も来てないんだな」

部屋の中はしんとしていていつもよりも広く感じる。
必ずいるルイでさえいなかった。

「ルイは風邪で休むらしい」

彼女を持ったままソファに座るタカが疲れたように言う。

てか聞いてないけど〜、そんな事。

「んでルイの看病にみんなついてるってわけ〜?」

「そういうわけだ」

せっかく、気になる子を披露しようとしたのに。

ま、いいや。

「いい加減、離して。頭に血が上った」

タカの肩に持ち上げられてる彼女は頭を押させながら言った。

「わかった」

タカがそういうと彼女は逃げられるとでも思ったのか一瞬顔が緩んだけど、
タカの膝の上に乗せられて不満顔にもどった。

「もうクラスに戻ってもいいかしら?」

疲れたように言う彼女をタカはずっと捕まえてる。

ある意味恋人のように見える。

膝の上にいる彼女が逃げないように捕まえているが、後ろから抱きついてるようにも見える。


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