顔が分からない貴方へ
一応、彼女の特徴を頭に入れておく。
頭痛もだいぶ楽になったし、
帰ろっかなー。
「あ、」
立った瞬間床に落ちたカーディガン。
「どーすっかな」
届けてもいいが、誰かもわからない。
でもユウキに頼めば調べてくれるかな?
ユウキって生徒全員、覚えてるし。
片手にカーディガンを持ち、
電話をかける。
カーディガンにはわずかに彼女の香りがした。
「もしもし、ユウキ?」
『ルイ?頭痛は治った?』
男にしては柔らかいユウキの声。
聞いてるだけでも心地よい。
「うん。あのさ頼みがあるんだけど」
『どうしたの?』
「調べて欲しい事がある」
『珍しいね。ルイが頼むの』
普段は自分の事は自分でするからあまり頼み事はしない。
まぁ、本当は頼りっぱなしだけどね。
「真っ黒くて、美人を探して?」
ルイ〈サイド〉終わり