顔が分からない貴方へ







コンコン、



「失礼します」



ドアを開けるめ目の前に高級なソファが 目に入ってきた。


黒の革生地で、上品な感じのデザイン。


フアフアはしてなさそうだけど、


横になったら気持ち良さそう。


革生地って冷たいから、
真夏の今では最適だ。


「いらっしゃい、紺野さん」


ソファの奥には大きな、
これまた高級そうなデスク。


デスクの椅子に座っているのは
この学校の理事長先生。




「初めまして、紺野彩葉です」


「理事長の渡辺です」



先生はあまりシワがなくて、
若い印象を受ける。


高級そうなスーツを着ている上に、
仕草も上品で似合っていた。


そんなスーツには名札が付いてあって
『渡辺理事長』と書かれてある。




「この度は無理を言ってすみません」



この学校、藤咲学園では本来転入生をとらない決まりがある。


でも私が無理を言ってお願いしたのだ。



「いえいえ、気にしないでください」


「ありがとうございます、本当に」



渡辺先生は柔らかな笑みを浮かべた。



「それよりも、病気の方は?」


「大丈夫です。ご心配なく」


「そう、ですか。
それじゃ担任を呼びますね」


「あ、お願いします」



学校に来る途中いろんな人に見られた。




不良だったからたぶんこの学校の生徒だろうけど。


< 3 / 22 >

この作品をシェア

pagetop