顔が分からない貴方へ
先生が教室を出たあと、
私は席を探そうとクラスを見渡したとき。
「彩葉ちゃんー、ここおいでよ!」
奥の方に座ってる金髪の女の子が叫んだ。
奥の方には6席くらい空いてあった。
『名前、何て言うの?』
金髪の彼女の隣の席に座って聞いてみようとし た。
でも、
私が席についた瞬間教室が凍った。
理由が分からなくて首を傾げながら、
金髪の彼女に聞いてみる。
「どうかしたの?」
すると彼女はオドオドし始めた。
「えっ、いや、あの、その、
本当に座るんだなって思って」
「この席のこと?」
「うん、その席は恐いから」
「恐い?」
私が聞くと説明してくれた。
この学校には有名な暴走族がいる。
幹部たちと総長はめちゃくちゃイケメン。
だけどそのうちの一人が、私の隣の席で。
毎回私の席の人は苛められるそうだ。
だから恐くて誰も座らなかった、と。
金髪の彼女は冗談で言ってみただけだ、と。
冗談って。
私今日、
初めて来たから知らなかったんだけど。
冗談かなんて分からないし。
「私、ここ座ってもいいのかな?
みんな、主に女子に聞いてみる。
イケメンが絡んでるし。
「座っててもいいとは思う」
「うん、他に席ないし」
「あの″姫”の席よりも、ましだしね」
「そうそう、まだ許せるよね」
いいらしい。
てかやっぱり聞いてみて良かった。
勝手に座ったらリンチられるところだった。