意地っ張り
「松本って、麻季には優しいよね」
「アイツのどこが?」
「あら、知らないの?松本って他の女子には淡々としててあんな顔しないわよ」
「そんな事ないって」
そう、そんな事はない。
こんな言葉で自惚れて
しまったら痛い思いを
するのは私なんだから。
私と松本は同期で
よく飲んだくれては
お互いの家に泊まり込む仲。
だからアイツの中では
私は女の部類に入って
いないのだ。
それでも友達として
松本の傍に居れればと
思う私は欲張りだろうか。
『仕事、終わったか?』
定時過ぎ、不意に声を
かけられ顔を上げれば
松本がデスクの前に
立っている。
好きな男に声を
かけられただけで
ドキドキしてしまう
私はガキんちょだ。
「まぁ、終わったけど」
『じゃ、飲みに行こうぜ。正面玄関に18時な』
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