腹黒王子は誘惑中
「とりあえず、恋人のフリからで」


「いやです」


「拒否権はないよ?」


爽やかに脅されている。


昨日と同じだ……!


「お・わ・び、は?」


「別のにしてくださいっ」



あたしは里中君に背を向けてダッシュする。


幸い生徒が校内にあまりいなかったので、すんなりと玄関までたどり着く。


振り返っても里中君はいない。



よかった……。


里中君って、なんかいろんな意味で危険かも。



あたしはカバンの中に入れていた雑誌を取り出して、祈る。


晴樹くん、あの男をどうにかしてっ。


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