腹黒王子は誘惑中
少しムカついた俺は、波野が読んでいた雑誌を取り上げた。


波野は俺のことをキッと睨む。


だけど、俺にはそんなの効かない。


俺を取り巻く女子達は、静かに俺らを見守っている。


正直うざい。


「ムシしないでね?」


俺は爽やかに言ってやる。


「してませんけど」


ムスッとした様子の波野。


わっかりやすいなー。


「それで、何の用ですか?」


すっごく嫌そうな顔。


明らかに警戒されてる。


そんな露骨に嫌そうな顔されたことがないからか、ちょー新鮮。


「実は、明日の授業の準備、僕と波野さんが任されてるんだ。だから、放課後、理科準備室に来てね」


「……わかりました」

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