腹黒王子は誘惑中
「小さくてかわいい」


そんな里中君の声が聞こえたのはあたしの頭上。


え、え?


もしかしてあたし、抱きしめられてる!?


「さ、里中君?」


「どうしたの?」


どうしたの、じゃないでしょ!


なに、とぼけてるんだ、この人は!!


「これって、どういう状況……ですか?」


「どういう状況だろうね?」


爽やかに、そして悪びれもなく笑う里中君。


あたしが里中君にきいてるんだけど!


どうして、抱きしめられてるんだろう。


里中君の腕の中で少し考えてみる。


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