腹黒王子は誘惑中
「……注目されるのが苦手なんです」


「苦手、ね……。おい、平川」


理事長が名前を呼ぶと、入口で控えていた女の人がこちらに寄ってきた。


あの人、平川さんっていうんだ。


初めて知ったよ。


「なんでしょう、理事長」


「あれを持って来い」


「はい、かしこまりました」


一礼をして平川さんは隣の部屋へ何かを取りに行った。


今ので伝わったんだ……?





平川さんが戻って来たのは一分程たった頃。


少し大きめの箱を 抱えていた。


理事長がニヤリと笑う。


「平川、開けなさい」


「はい」


平川さんは持っていた箱を開ける。


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