腹黒王子は誘惑中
数分後……。
「ありがとう。拭いてくれて」
「い、いえ。こちらこそ、ごめんなさい」
ニッコリと爽やかに微笑む里中君。
その笑顔に何か含まれている気がするのは、あたしの気のせい……?
なんかあたしがウワサで聞いてたのと、イメージが違うような……。
「あ、あの、お詫びとしてなんでもします」
助けてもらったうえに、服を濡らしちゃうなんて、恩知らずだもんね。
「何でも?」
「はい。できる範囲なら」
あたしは自信を持って答える。