イジワルな彼の甘い罠
「許してくれるんですか……?」
「大丈夫、怒ってないし……寧ろ思い切り蹴っちゃったし」
「あ……ハイ、あれはかなりきました」
彼がその場に座ったままチラッとシャツをめくり見せた腹部には、丁度私の膝くらいの大きさの青く赤いアザが出来ていた。
うわぁ……痛々しい……!!
そのアザにいっそう申し訳ない気持ちを感じつつ、私は「けど」と改めて彼と向き合う、
「気持ちは嬉しいんだけど、八代くんのことは後輩としてしか見れないの。……だから、ごめんね」
「唯川さん……」
気持ちに対しての答えに、彼は泣きそうな顔でこちらを見てすくっと立ち上がった。
「わかりました……まだ気持ちは諦めきれないですけど、でも唯川さんより仕事出来るような、いい男になってみせますから!」
「うん。これからも一緒に仕事頑張ろう」
「ハイ!!」
こうしてなんとか私と八代くんとの仲も収まり、一週間を過ごした大阪を去り、東京へ戻って行ったのだった。