イジワルな彼の甘い罠
「……早希。答えろ」
短いひと言。けれどそれがまた、余計な言葉を並べるよりも重く、部屋に響く。
「……好きだって、言われた」
ぼそ、とつぶやく声が震えそうになるのを、必死に堪え言葉を続けた。
「それで、押し倒されてキスされて……それだけ。それ以上はしてないし、付き合えないって断った。向こうもそれで納得してくれた」
……全部、言っちゃった。
航は、なんて言う?
『そうかよ』って興味ない反応?
『怖かったな』って抱き締めてくれる?
怖い
その無言が、昨夜のことより怖い。
「……どうだかな」
「え……?」
ところが、その沈黙を破ったひと言は予想外のものだった。