イジワルな彼の甘い罠



何度体を重ねても、その唇から『好き』だとか愛を囁くような言葉は出てこなくて、当然私から発することもない。



おまけに航は、カメラ馬鹿。

カメラに触ること、写真を撮ること。それらが好きすぎてカメラマンを仕事にしてしまうくらいで、家にいるときも大体こうしてカメラをいじるか撮ったデータを確認するか……。

常にその頭の中は、カメラのことでいっぱいだ。



まぁ、フリーでやって食べていけてるくらいだしそこそこ売れっ子ではあるみたいだけど……。

人よりカメラに夢中な奴に、私のことなど目に入らないだろう。



そういうこともあり、私と航はいわゆる『セフレ』という関係で、何年もズルズルと続いてしまっているわけだ。



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