イジワルな彼の甘い罠
7.気持ちの呼び名
「で、そのまま連絡取ってない、って?」
それから数日後のある夜、私とハルミは仕事後にいつものバーで食事をしながらお酒を飲んでいた。
話題はもちろん先日の、航との一件のこと。
「だって最低でしょ!?確かに他人だけど……どうせヤったんだろとか!人を軽い女みたいに!」
先日感じた悲しい気持ちは、数日経った今となってはすっかり怒りに変わり、私は声を大きくして怒る。
一方で向かいに座るハルミは、いつも通りのペースでグラスの中のワインを飲んだ。
「あら、意外とカタいのねぇ。あんな男とズルズルとセフレ続けてるくらいだから、てっきり勢いで年下男とも……」
「ないから!ハルミまで私のことそんな目で見ないで!!」
他人事だと思って軽く言ってのけるハルミは、楽しむように笑みを見せる。
その表情にからかわれているのだと察すると、私はヤケクソと言わんばかりの勢いで、グラスの中のお酒をグイッと飲み干した。