イジワルな彼の甘い罠
「そういえば、今日はふたりでいたんだね」
「あぁ、仕事の話ついでに飲んでいたんだ」
「仕事?」
首を傾げると、ちょうど運ばれてきたビールグラスがテーブルにふたつ並んだ。
「ハルミもだが、うちの会社の仕事に携わって貰っているからな。自然と他の友人より会う時間も多くなる」
「あー、確か下着の会社だっけ?」
頭に思い浮かぶのは、私のデータの中にあった、下着姿の綺麗な女の子のこと。
「そうそう。たまにアタシと航が下着モデルしたりしてね〜」
「え!?」
ところがハルミのひと言によって、頭の中の図はランジェリー姿のハルミと航……というなんとも恐ろしいものにすり替わる。
「なにそれ……恐ろしい図……」
「どう考えても違うだろ。つーか想像すんな」
青ざめる私に、航はすかさずツッコミを入れる。そんな私たちの些細なやりとりに、ハルミと澤村くんは笑った。
付き合いが長いっていうのは不思議なもので、その間が何日何年と空いても、会えば自然と話題が膨らんでいく。
過去の話、最近の話、他の人の話……話は止まることなく何時間という時間があっと言う間に過ぎていく。
あの頃とは違う立場、違う関係。
けどこうして皆で笑っていられるのだから、同級生って不思議だ。