イジワルな彼の甘い罠
目の前に顔があっても、一向に視線が合わせられることはない。
なんで、目も合わせてくれないの。
なんで、会話のきっかけも与えてくれないの。
『そのままじゃ、本当に関係切れちゃうんじゃないの?』
だけど、そんなのは嫌だから。
手のひらに触れるその大きな手を、ぎゅっと握った。
「早希……?」
「……本当に、してない」
「え?」
不意にこちらを向いた瞳を、逃さぬようにしっかりと見つめる。