イジワルな彼の甘い罠
知らない人と結婚を目的に知り合って……って、“結婚”ってそこまでしてしなきゃいけないことなのかなとも思う。
それに一生一緒にいるなら、やっぱり好きな人とがいい。
『好きな人』、その言葉に思い浮かぶのは、ベッドの上で煙草を吸う、その横顔。
その姿に小さく胸を鳴らすと、今日もその家へ向かうべくコツコツと低いヒールを鳴らして駅へと歩いて行く。
あの日、なんとか仲直り……というか元通りの仲に戻った私と航。
その証拠にとでもいうべきか、今日も昼間にきていた『20時に家』のメール一通で、その家へ向かう自分がいる。
関係が変わったわけじゃない。
けどひとつ心に強く感じたのは、自分の正直な気持ち。