イジワルな彼の甘い罠
「……んな急がなくても」
「あんたみたいに車で自由に行き来出来るわけじゃないの!終電があるの!」
「ふーん……」
ってこいつは車があるくせに『なら送る』の一言も出てこないわけ!?
甘えるようでイヤだから自分からは頼まないけど!絶対!!
「じゃあ私帰るから!」
「おー」
そう靴を履いてアパートを飛び出す私に、航はパソコンの前から動くことも、こちらを見ることもない。
そんな態度に込み上げる、イラッとした気持ちをぶつけるように、バァン!と思い切りドアを閉めた。
「っ〜……」
最低!本当最低!
本当やる時くらいしか私に興味ないんだな!あの男は!!
腹立たしいその態度に、ズカズカと駅までの道を早足で歩く。