イジワルな彼の甘い罠
翌日の夜19時すぎ。仕事を終えた後私の姿は航の家のドアの前にあった。
……少し、気まずい。
『19時に家』、そのメールに対し丁度の時間でやってきたはいいけれど、昨日のことがあり、来てから10分以上もドアを開けられずにいる。
平常心、平常心……。
いつも通りの顔と、声で、きちんと伝えるんだ。もう、この関係を終わりにすること。
「……よし、」
覚悟を決めたように大きく息を吸い、ドアノブへ手をかけた瞬間。
「なにしてんだよ」
「わぁ!!」
ドアは突然中から開けられ、姿を現した航は不思議そうな顔で私を見た。