イジワルな彼の甘い罠
「な、なんで……」
「靴の音聞こえたから来たと思ったのに、いつまでも開けねーから」
ば、バレていた……!
早く入れよ、と中へ戻る航に、私はバツの悪い顔でドアの中に入って行く。
「悪かったな、昨日」
「別に、私も忙しかったし」
「ふーん……」
靴を脱ぎ家へあがった途端、航はキスをしようと顔を近付ける。
それをスッとかわし避けると、そのまま部屋に足を踏み入れた。
……いつもならそのままキスで丸め込まれるけど、今日は違う。
「……おい、なんだよ」
「なんでもない。そういう気分じゃないだけ」
その態度に疑問を投げかけながら眉間にシワを寄せる航に、そっけなく答えた。