イジワルな彼の甘い罠



バカみたい。

あんなのと過ごして、7年も無駄にした。



『航に女が出来たらどうするの?』



いつかのハルミの言葉が、身に染みる。



別に、恋人になりたいなんて望んでなかった。

時間がある時に体を重ねて、満足出来ればそれでよかった。航が私で満足してくれるのなら、それでよかった。



一緒にいられれば、それでよかったんだよ。



だって、恋人になったらいつか終わる。

もっともっと欲が出て、ぶつかって、壊れて、嫌になって、いつか『別れ』の選択肢が出る。



だけどこのままの私たちなら、互いの立場をわかってるから欲なんて出ない。出す資格もない。



そう、だ。

『おしまい』そう言葉にしたけれど、まだ始まってさえいない私たちには、『終わり』という言葉すら当てはまるか不確かだ。


< 138 / 215 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop