イジワルな彼の甘い罠
10.わかってた
覗いた、フレームの中。
見つめる姿は
いつだってひとつだけ
カシャ、カシャッ……、とシャッターをきる音とともに、目に痛いほどのフラッシュが眩しく光る。
ある日の夜、今日も俺は友人である玲二からの仕事……下着のモデルの撮影を行っていた。
撮影場所はいつも、小さなレンタルスタジオ。
商品であり主役である下着をどう写すか、それだけを考えながら、ベッドの上に座るその姿をひとつひとつ写真におさめる。
「……よし、少し休憩。そしたら次の衣装に着替えてこい」
「はい」
時間と予算の都合上、夜数時間の間に何着分もの撮影をしなければならない。
下着によって見た目も中身もガラリと変えるモデルも、そしてそれを写すこちらも、結構神経を使う仕事だ。