イジワルな彼の甘い罠
11.重ねた7年
ある晴れた日曜日の午後、私の姿は実家から車で数分程度の日本料亭にあった。
冬の寒さを忘れさせるようなあたたかな日差しが差し込む、広めの和室には、目の前に並ぶ料理と自分を含め4名ほどの姿。
そう、今日は運命のお見合い当日だ。
「唯川早希です、本日はよろしくお願いいたします」
派手過ぎないアイボリーのトップスに黒いスカート、パールのピアスに小ぶりなネックレス……といつもよりはきちんとした格好に、柔らかな笑顔をつくる。
「多岐川雄太郎です、よろしく」
そんな私の向かいに座るのは、ピチピチのスーツを着た太めの体型の男性と、その母親である化粧の濃いおばさん。
「あらあら、綺麗なお嬢さんねぇ。うちのゆうちゃんにピッタリ」
「もうママ、外でゆうちゃんはやめてって言ってるじゃないか」
「あらやだ、いつもの癖で。ごめんなさいねぇ」