イジワルな彼の甘い罠
彼女、いや、彼……ハルミこと、晴海秀介は一見近寄り難いほどの美女。中身だって、美意識が強く高い女子力の持ち主。
けれど正式な性別は、男。昔からかわいい顔をしているとは思っていたけど、大人になり化粧をするようになって……まさかここまでの美女になるとは。
その証拠とでもいうべきか、綺麗な見た目を台無しにするほど、低い男の声をしている。
ちなみに高校からの同級生で、一番仲の良い女(?)友達。
そして航とは本人たち曰く『腐れ縁』の仲の良い間柄で、要するに私と航の間柄をよく知る数少ない共通の友人だ。
「アホなことしてるっていうのは分かってるけどさ……」
「本当にね。あんなカメラしか能のないアゴヒゲ相手にセフレなんて!しかも7年も!30歳の今が女にとって一番重要な時期だってわかってないの!?」
「わ、わかってるもん……」
「わかってない。あんたは全然わかってないわ」
ハルミはバッサバッサと斬るように言うと、グラスの中の赤ワインを勢いよく飲み、空になったグラスをダンっ!と机に置いた。