イジワルな彼の甘い罠




「……で?この後どう親に顔向けしろって?」



その後、落ち着いた私と航は部屋を出てはお見合いをしていた部屋へ戻るべく、料亭の廊下を歩いていた。

よくよく考えれば、お見合いをぶち壊したわけで……相手に恥をかかせ、仲人の顔を潰し、と怒り狂う母の顔が目に浮かぶ。



「あー……それならまぁ、大丈夫だろ」

「何が大丈夫なのよ……」



こちらの不安など他人事のように流す航に呆れながらついた部屋で、私は恐る恐る部屋の戸を開け、中の様子を伺うように覗き込んだ。


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