イジワルな彼の甘い罠
5.それから、
12.ふたり
気持ちを伝えて、聴いて
俺たちは恋人同士となった、はず
が。
「っ……やだ!!」
その声とともに、バシッ!!と勢いのいい音をたて、押しのけられる顔。
なぜ、自分の彼女相手に
こんな拒まれ方をされなければならないのだろう。
彼女……早希と恋人という関係になって3ヶ月。
それまではお互い名前のなかった関係。それがまぁ、いろいろありつつも上手くまとまって……結果、現在同棲中。
『結婚しようってこと』
あの日、そう不器用ながらもプロポーズをした俺に、早希は頷いた。
そこから結婚に向けてお互い動き始めた……かと思いきや、動くどころかあれ以来それについての話はしていない。
理由はいたって単純。
散々長いこと顔を合わせて、今更結婚だなんだと改めて話すのが恥ずかしいからだ。
早希自身からも話は出ない。恐らく自分から結婚の話を掘り返して、がっついてるとか急いでるとか思われるのが嫌なのだろう。
……早希の意地っ張りはわかりやすい。