イジワルな彼の甘い罠
「それ、浮気してるんじゃねーの?」
「……は?」
翌日の夜。
最近の早希の話をした俺に、唐突にそう呟いたのは、同じ歳の同業者であり飲み仲間の青田。
パーマをかけた茶色い髪に、シルバーのネックレスというチャラチャラとした身なりのそいつは、ビールの入ったグラスを片手にニヤニヤと笑みを浮かべた。
「浮気って……いきなりなに言ってるんだよ」
くだらない、とでもいうように鼻で笑った俺に、青田はなぜか妙に自信満々だ。
「だってそれまで散々ヤってたのにいきなり拒否だろ?そりゃあ浮気だよ、浮気。完全に浮気」
「んなわけあるか。普段仕事行って真っ直ぐ帰ってきての繰り返しのつまらねー女だし」
「お前が知らないだけじゃなくて、か?」
俺が知らないだけ、?
その言葉の意味を問うように、そのニヤけた顔を横目で見た。