イジワルな彼の甘い罠



「これ今日中に仕上げたら明日休みでいいからさ。明日金曜だから、ほら三連休になるじゃん?よかったじゃん」

「わー、三連休は魅力的……ってそうじゃなくて!ていうか何で私ひとりなんですか!これだけ人間がいるのに!」



この仕事量では、今からやったとしても徹夜になるのは目に見えている。いや、徹夜でやっても終わるかどうかすらあやしい。

これを私ひとりでなんて……と周りを睨むと、フロア内の男共は揃ってササッと視線をそらす。



「いや、だってうちの男共はほら……妻子持ちが多いからさ。いきなり徹夜とかはあんまり。俺は今日は彼女とデートがあるし」

「自分はデートで人には残業ですか。徹夜ですか。へぇー」



嫌味っぽくネチネチと言う私に、先輩は気まずそうに苦笑いで窓の外へと視線を向ける。

自分はデート、って私に予定がない前提で話しているところがまたむかつく。


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