イジワルな彼の甘い罠
「んっ……んー!んー!」
「……早希、」
離せ、と訴えるようにその胸元をドンドンと叩くものの、キスをされたまま最終的にはそのまま両腕にすっぽりと抱き締められ、抵抗する気もなくなってしまう。
「……折角来たんだしゆっくりしていけよ」
遠回しな、誘い文句。
『折角』、なんて白々しい。
どうせ私以外でもいいくせに。
暇人同士、時間潰して欲求を解消し合いたいだけのくせに。
そう思うと、腹立たしくてたまらないのに。
「……じゃあお言葉に甘えて、明日の朝まで居座ってやるわよ」
それとなく、泊まりの約束を取り付けて、そのまま体はベッドへと向かう。
あぁ、結局またこれだ。
ムカつくのにキスひとつで丸め込まれて、怒る理由もなし崩しになる。
逆らえず拒めず、求められるがまましてしまう行為を、嫌だとか思えずに一瞬のその甘さに浸ってしまう。
そんな自分が一番どうしようもない。
こうして今夜も、この男に溺れる。