イジワルな彼の甘い罠
4.ブルー
「……ん、」
ヴー、ヴー……と聞こえたバイブ音に目を覚ますと、窓から差し込む太陽に朝が来たのだとさとる。
明るい日差しが注ごうとも、相変わらずその部屋はごちゃごちゃと物で溢れて、狭い。
朝……。
そういえば、昨日は航の家に泊まったんだっけ。
寝ぼけた頭でぼんやりと考えながら寝返りをうてば、そこにはこちらを向き静かに眠る航の顔があった。
「すー……」
どんな夢を見ているのか、寝ている時にまで眉間にシワが寄っている。
寝る時は背中向けてるくせに、朝にはこっち向いてるっていう……。
裸で向き合うベッドの中、シーツがめくれ露わになっているその腕には半袖の形に日に焼けた跡。
夏場も外で撮影ばっかりしていたんだろうな。白い肩と焼けた腕に、カメラを構える彼の姿が思い出される。
その肌に触れようとそっと手を伸ばすと、ヴー、ヴー……とまたバイブ音が響いた。