イジワルな彼の甘い罠
わいわいと話す彼女たちは、華やかな色のワンピースに綺麗に巻いた髪、凝ったネイル……と時間をかけたのであろう念入りさが伺える。
一方で私は、引っ張り出した使い回しのドレスに、ネイルも塗らず……余裕のなさが見た目にも現れているようだ。
「早希はまだ仕事バリバリしてるんだねぇ。うちは旦那が専業がいいっていうから毎日家だよ」
「私は子供がちょっと落ち着いて今はパートやってる〜」
「いいなぁ、うちはまだまだ子供がうるさくて」
旦那、子供、家庭……こう聞くと羨ましいような、羨ましくないような。
でも不満げに言いながらも皆笑顔なあたり、なんだかんだと幸せなのだろう。
「で?あんたはどうなの、早希」
「え?」
適当に聞き流そうとしている中、友人のひとりは鋭くこちらへ突っ込む。