イジワルな彼の甘い罠
「そろそろ早希も、そういう話が出てきてもいいんじゃないの?」
「いやー……聞かないで」
「なに、早希ってばまだ結婚しないの?まさか彼氏すらいないとか?」
「お察しの通りバッチリ独身です」
触れられた以上は仕方なく、茶化して言いながら私は日焼けの跡すらない左手薬指を見せつける。
それに対し、その場の皆の顔は信じられないと言いたげに変わった。
「そんなに男いないの?合コンは?職場恋愛は?」
「んー…合コンとか好きじゃないし、職場の人はそういう対象じゃないし、ていうか既婚者ばっかだし」
「彼氏でもないダメな男にハマってるんじゃないでしょうね?それかホストに貢いだり……」
「ないない。貢ぐほどの余裕もない」
おそらく本気で心配してくれているのだろう皆に、私はあははと笑う。