イジワルな彼の甘い罠
「ていうかなんで今日菜摘の式の撮影って教えてくれなかったの?いきなり居てびっくりしたんだけど」
「最後の方まで気付かなかったくせによく言うよ」
うっ……。気付いていて声のひとつもかけないところがまた、こいつらしい。
「ブーケトスの時のお前は見ものだったなー。集合写真も半目だったし」
「うそ!?やだ、現像しないで!!」
「後でちゃんと写真やるよ」
「いやー!!」
ニヤニヤとからかうように笑うその顔に、恥ずかくて頭を抱える。
けれど、不意に思い出すのは先程のカメラを構えるその姿。
「……そういえば、仕事してる航って初めて見た」
「だろうな」
「楽しそうで、少し驚いた」
ぽつりと呟いた言葉に、その顔は一度固まる。