イジワルな彼の甘い罠
「はいよ、チャーシュー麺と味噌ラーメンね」
「わ、美味しそう」
話すうちに出来上がったラーメンは、いい匂いを漂わせカウンターに差し出される。
美味しそうなその見た目に、私は顔をほころばせ早速割り箸を手に食事を始めようとした。
すると不意に伸ばされた指がそっと私の髪に触れ、顔の脇の髪をすくいあげるように私の耳にかけた。
「なに?」
「髪、食いそう」
小さく笑う顔に、優しい指先。それらに箸を持つ手は止まる。
あぁ、また
心に感じるこの気持ち
……むかつく。
不意打ちの仕草に、ドキッてした。